毎日をアクティブにする力オリーブ果実マスリン酸
PART 1
研究のきっかけ
超高齢社会における課題
日本人の平均寿命は延び続けており、世界に先がけて、超高齢社会を迎えています。
一方、自立して元気に過ごせる期間「健康寿命」と平均寿命の差「日常生活に制限のある期間」が長いことが問題となっています。QOLの向上、医療費の削減等の観点からも、今後は健康寿命を延ばすことが大切とされています。
高齢者が健康から要介護に至る前段階を「フレイル(虚弱状態)」といい、この段階では、適切な取り組みを行えば健康に戻ることができます。フレイルには3要素(身体的、精神的、社会的フレイル)があります。
身体的フレイルには、ロコモティブシンドローム(ロコモ)が含まれ、このうち、筋肉筋力の低下は、サルコペニアと呼ばれます。
筋肉量は一般に40歳前後から徐々に減少し、加齢に伴い加速していきます。
筋肉が減ると関節に負担がかかり運動量も減少、食欲が低下し低栄養状態になると、さらに筋肉がやせてしまいます。この「フレイルの悪循環」の入り口となる筋肉の減少を予防することは、健康寿命の延伸、豊かなシニアライフの実現に重要であると考えられています。
PART 2
オリーブに秘められた力
オリーブ果実に秘められた力
昔から地中海沿岸に住む人々は長寿で、虚血性心疾患などの心臓病やメタボリックシンドロームなど、生活習慣病とされる疾病の発症率が低いことがわかっており、その理由が地中海式食事法にあるのではないかと推測されています。地中海式食事法はオリーブをふんだんに使うことから、オリーブに含まれる抗炎症成分が地中海の人々の健康に良い影響を与えているとも考えられています。
オリーブにはオレイン酸やビタミンEなどの健康成分が含まれている他、微量成分としてポリフェノールやトリテルペン類のマスリン酸などが含まれています。このうちマスリン酸には高い抗炎症・鎮痛効果が報告されており、関節炎予防・ロコモ対応成分として期待されています。
私たち“ニップン”は、健康寿命と関連があると言われる地中海式食事法の代表、「オリーブ果実」に着目し、希少成分であるマスリン酸の関節や筋肉への効能の研究を続けてきました。10年に渡り、積み重ねてきた研究成果を、一部ご紹介します。
PART 3
様々な健康効果
関節痛軽減効果
1. 関節痛軽減のメカニズム
関節炎に対し、マスリン酸は、軟骨成分・コラーゲンの合成酵素に働きかけ、関節の修復を促進させます。
またマスリン酸は、炎症性サイトカインの動きを抑えるため、炎症が抑制されます。
このようにマスリン酸は、組織形成と炎症抑制、複合的に関節炎にアプローチし、関節痛軽減に寄与します。
2. ヒト臨床試験
オリーブ果実マスリン酸摂取がひざ関節痛に及ぼす影響を調査するため、ひざに悩みを抱える高齢者を対象とした試験を行いました。
コホート予備調査 愛媛県忽那(くつな)諸島
- 対象者 :
- 高齢者29名、平均年齢70.7歳
- デザイン :
- 1群による前後比較
- 摂取期間 :
- 16週間摂取
- 試験食 :
- オリーブ果実マスリン酸300 mg(マスリン酸30 mg)
- 評価項目 :
- 膝関節の痛み(VAS)、 JKOM、QOLスコア(SF-8)など
<試験結果>
オリーブ果実マスリン酸を摂取することで、摂取前に比べてひざ関節機能の評価指標(JKOMスコア)に有意な改善が見られました。
また、生活の質(QOL)の指標(SF-8)、膝の痛み(VASスコア)にも改善傾向が見られました。
筋肉向上効果、筋肥大効果
1. 筋肉維持・向上のメカニズム
マスリン酸は、筋肉組織のもととなる細胞の分化を促進し、筋肉を構成するタンパク質の合成を促進することで、筋肉・筋力の維持向上に寄与します。
さらにマスリン酸は、筋タンパク質分解を抑えることで筋肉量や筋力の低下も抑えます。
2. ヒト臨床試験①
オリーブ果実マスリン酸摂取が筋肉に及ぼす影響を調査するため、高齢者を対象にヒト試験を行いました。
- 対象者 :
- 高齢者36名、平均年齢73.1歳
- デザイン :
- 運動のみ群19名、運動+オリーブ果実マスリン酸群17名
- 摂取期間 :
- 12週間摂取
- 試験食 :
- オリーブ果実マスリン酸600 mg(マスリン酸60 mg)
- 評価項目 :
- 骨格筋量、握力など
- 運動介入 :
- 週1回90分の運動
- ・ウォームアップ(30分)
- ・レジスタンストレーニング(40分)
- ・クールダウン(20分)
<試験結果>
オリーブ果実マスリン酸摂取と週1回の筋力トレーニングを併用することで、プラセボ(偽薬)群と比較して、筋力(握力)と筋肉量が有意に向上しました。
本研究は、総合科学技術・イノベーション会議のSIP(戦略的イノベーション創造プログラム 研究課題番号14533567)「次世代農林水産業創造技術」(農研機構生研センター委託研究)によって実施されました。
3. ヒト臨床試験②
オリーブ果実マスリン酸摂取が筋力に及ぼす影響を調査するため、高齢者を対象としたヒト試験を行いました。
- 対象者 :
- 高齢女性26名、平均年齢70.3歳
- デザイン :
- プラセボ対照無作為化二重盲検群間比較試験
- 群分け :
- 運動のみ群15名、運動+オリーブ果実マスリン酸群11名
- 摂取期間 :
- 20週間摂取
- 試験食 :
- オリーブ果実マスリン酸500 mg(マスリン酸50mg)
- 評価項目 :
- 下肢筋力(BIODEX)、ひざ関節機能(JOA)など
<試験結果>
オリーブ果実マスリン酸摂取と週2回の筋力トレーニング(全身振動トレーニング)を併用することで、プラセボ(偽薬)群と比較して、(※1)KL grade≧3の被験者において、下肢筋力やひざ関節機能に有意な改善が認められました。
※1 KL grade(Kellgren&Lawrence分類): 変形性膝関節症のX線重症度分類。数字が大きいほど重症。
筑波大学との共同研究結果 本研究は文部科学省・科学技術振興機構による支援プログラム「センター・オブ・イノベーション(COI)プログラム」によって行われたものです。
その他の効果
コンディショニング
オリーブ果実マスリン酸が、トレーニング後の疲労回復や、パフォーマンスに与える効果を調査するため、大学女子バスケットボール選手を対象とした試験を行いました。
- 対象者 :
- 大学女子バスケットボール選手
- デザイン :
- 非盲検化群内比較試験
- 摂取期間 :
- 1週間の継続摂取(未摂取期1週間)
- 用法容量 :
- マスリン酸 60 mg/日
- 評価項目 :
- VAS
<試験結果>
オリーブ果実マスリン酸を摂取することで、未摂取時に比べ、トレーニングによる疲労感や痛みが軽減し、練習パフォーマンスが向上しました。これにより、トレーニング時のコンディショニングにも効果を期待できることが示されました。
PART 4
活用にむけて
丈夫なカラダと健康維持に貢献
健康成分を多く含むと言われるエクストラバージンオリーブオイル。しかし、希少成分マスリン酸は、オリーブ果実を搾るだけでは抽出されず、オリーブオイルにはほとんど含まれません。食卓を彩るテーブルオリーブならマスリン酸を摂取できますが、一日に十何粒も摂取するのは大変。オリーブ果実マスリン酸は、マスリン酸をぎゅっと凝縮し、手軽に食べられるようにとの想いを込めて作りました。オリーブを中心とした食生活の継続が、きっと皆さんを健康なカラダへと導いてくれます。
コラム1. 取り入れやすいオリーブ果実マスリン酸
1. 熱への安定性、pHの安定性に優れています。
加熱殺菌や加熱調理、製造中にpH変化がある場合にもご利用いただけます。
2. 食品のおいしさそのままに・・・
オリーブ果実エキスはくせのない味。サプリメントだけでなく、グミ、キャンディーをはじめ、プロテインや一般食品まで、幅広い食品にお使いいただけます。