埼玉県新座市立野寺小学校は東京都に隣接した新座市南部に位置し、ベッドタウンの利便性と、武蔵野台地の面影を残す自然豊かな環境が魅力です。 研究熱心な学校としても知られ、平成18年度以降、毎年新座市教育委員会委嘱研究校になっています。 「よく聴き、よく考える子」「心のゆたかな子」「からだのじょうぶな子」を教育目標に掲げ、「生きる力を育むためには、夢を持つことが大切。夢が持ちづらい時代だからこそ、子ども達には夢に向かって真摯に歩んでいってほしい」との思いから、今回の爲末大学に応募されました。



梅雨のさなかの不安定なお天気でしたが、雨雲も子ども達の元気に吹き飛ばされたのか、6年生がグラウンドに現れた途端に太陽が顔をのぞかせました。 「みんなの心がけのおかげですね。今日は為末先生のすごいところ、すばらしいところをたくさん学んでください」と弘中幸伸校長先生からみなさんへのお話。 保護者の方々はもちろん、下級生や近隣学校の先生も見学に訪れ、大勢のギャラリーが見守る中で授業スタートです。

ハードルを跳ぶために  -目標設定への道筋-

「今日はかけっことハードルのけいこをします。じゃあ一緒に走ろう!」 為末先生が先頭に立って、まずは全員でランニングです。
子ども達は授業の前に、為末先生が現役時代に出場した世界陸上のレース映像を見ていたそう。世界の舞台で戦っていたトップアスリートと一緒に走っているとあって、最初はみんなソワソワ落ち着かない様子。 それでも「横向きでスキップしてみて」「後ろ向きに走って」と為末先生から次々と課題が出されると、だんだん真剣な表情に。その後、全員でゲーム感覚の体操をしているうちに、みんなの表情がほぐれて笑顔がはじけました。

速く走るにはどんな姿勢で走ればいい?  -目標達成のポイント-

続いて、ハードル走に欠かせないスタートダッシュの練習です。 為末先生が「走るために大切なことって何だろう?」と質問を投げかけると「腕を振る」「前を見る」「息を止める」など、さまざまな意見が飛び出しました。 「どれも大切だけど、一番大切なのは体の姿勢をまっすぐにすることです。足を90度に開いて座ってごらん。そして頭のてっぺんを指でつまんで、そのまま上にひっぱるようにして立ち上がってみて。 手は力を抜いてブランとして、足を元に戻す。これが正しい姿勢。そのままスキップしてみましょう」

正しい立ち方がわかったところで、今度はダッシュする時の姿勢を指導。 「前足に体重の8割をかける気持ちで、重心を前にしっかりかけてみて。 そうすると、パッと走り出せるから」 為末先生の真似をして、前のめりに上半身を傾けてトレーニングする子ども達。「先生、転んじゃいそう!」「いいよ、それくらいグッと前に出ていいよ!」 あちこちで会話が飛び交いながら、スタートダッシュをくり返します。そうするうちに、上半身を倒して走り出すとスピードが出やすくなることを、体で感じた人も多かったようです。

どの高さのハードルを跳ぶか? -目標設定-

最後は、いよいよハードルの練習です。グラウンドには一番低い高さに設定されたハードルが5レーン用意されました。

「大事なことは、上に思いっきりジャンプすること。上に上に跳んでみて!」
子ども達に自由に跳ばせるのが、為末流のハードル授業。子ども達も軽快にハードルを跳び越えていましたが、為末先生がハードルの高さを少しずつ上げていくと「高い!」「ムリ〜!」と戸惑いの声が…。

最終的はハードルが低いままのもの、中くらいのもの、高いものの3種類ができました。「どこでもいいよ、好きなところを跳んでみて。 ハードルを倒しても気にしないで走ってみよう!」と為末先生が励ましますが、経験したことのない高さだけあって、一番高いハードルのレーンは誰も跳ぼうとしません。そんな中、ひとりの男子が果敢に高ハードルにチャレンジ。 すると1人、また1人と後に続いていきます。転んでしまったり、ハードルを倒した子もいましたが、最後は列ができるほどの人気レーンになりました。

まとめ  -目標達成はできたか-

「今日はみんな、最初より高いハードルを跳ぶことができましたね。今までできなかったことができた自分を褒めてあげましょう。拍手!」
先生に褒められて、子ども達はみんな満足そうな表情。
自分で「これなら跳べるかな」と判断してハードルの高さを選び、それを達成する喜びを感じてほしい。そんな為末先生の思いを、子ども達もしっかりと受け止めたようです。