2017年の爲末大学食育学部は、大阪市大正区からスタートしました。大阪市南西部に位置する大正区は運河に囲まれた島状のエリアで、臨海工業地帯として発展してきた歴史があります。また古くから沖縄出身の人が多く移り住んだことから「大阪のリトル沖縄」と呼ばれ、独特の個性を持った街として親しまれています。そんな大正区で開校61年目を迎えた平尾小学校が今回の舞台です。


1年で最も寒さが厳しい2月。当日も急な冷え込みで寒い朝を迎えましたが、太陽の光が差しこむグラウンドにはブルーやオレンジのゼッケンをつけた6年生たちが元気に集まってきました。「今日はおふたりの先生にハードルと食育、夢について授業をしていただきますが、ただ聞くだけでなく、それをどう自分で使ったり生かしていくかを考えてください」と細井直子校長が挨拶し、1時間目の授業がスタートしました。
1時間目の体育の時間は走り方やハードル走を学びながら、目標を実現する達成感を体験してもらう授業です。 「今日はみんなと一緒にハードルと食育、それから夢の授業をします。1日楽しくやっていきましょう。 じゃあまずは、みんなで大きな輪になろう!」と為末先生のかけ声で、児童が広いグラウンドに広がっていきました。

ハードルを跳ぶために  -目標設定への道筋-

まずは、楽しい体操の時間です。その場でジャンプをしたり、2人1組になって手を交互に伸ばしながらグーパーするなど、軽いウォーミングアップからスタート。 2人で息を合わせたり、リズムを変えて手をたたくなど、為末先生から次々にお題が出されましたが、難なくクリアしていく児童たちを見て「前にやったことあるの?  これが初めて? すごいな!」と為末先生は驚きを隠せない様子。

続いて、背中におんぶされた人が、おんぶしている人から落ちないように上半身をぐるりと一周するゲーム。 バランスを崩して地面に足をついたらゲームオーバーです。全身の筋力とバランス能力が問われる難易度の高いゲームだけに、寒さで縮こまっていた児童たちも一気にテンションアップ!  「キャー、落ちるー!」「体を元の位置に戻して! がんばれ!」とあちこちから叫び声を上げながら、必死にパートナーの背中にくらいつきます。 みんなができるようになったところで、2組のペアがみんなの前で公開バトル。どちらが早く1周できるか、声援の中で果敢にチャレンジしました。

他にも、高く跳びながらの足ジャンケンや、みんなで輪になって前後左右にジャンプする体操などに挑戦。寒空の下、児童たちの笑い声が響きわたりました。

障害物をどううまく跳び越えたらいい? -目標達成のポイント-

いよいよハードルの練習です。校庭にはあらかじめ高さの違う4段階のハードルが用意されましたが、まずはハードルに親しんでもらうため、 ハードルを跳ばずに下をくぐる練習からスタート。ハードルの下をくぐるという経験がない児童たち、最初は「狭すぎて無理なんじゃない?」と心配していましたが、 いざやってみるとどの子もスイスイとくぐっていきます。

続いて1つめのハードルを跳んだら2つめはくぐる、という交互の運動。「跳んだら、くぐって! そう! できているね!」と為末先生の声に背中を押されて、 どんどんクリアしていく児童たち。ふだんから体を動かしているだけあって、身体能力の高さに気づいて先生も手応えを感じている様子です。

何度か走りこんだところで、ハードルのトレーニングに進みます。為末先生から「好きなところで跳んでいいよ!」と呼びかけられ、児童に自由にハードルを跳んでもらいました。 子どもたちは最初から高いハードルに挑む子もいれば、低いハードルからコツコツ練習する子、真ん中から始めて感触を探る子など、それぞれのやり方で練習していたのが印象的でした。 為末先生も「ふすまを蹴破るみたいにして跳んでみて!」と上手に跳ぶためのコツを子どもたちに教えながら、みんなの走りを見守ります。

自分でハードルの高さを選んで超えていく -目標設定-

高さの違うハードルに慣れてきたところで、今度は高さではなくハードル間の距離が違うレーンが登場しました。 他のレーンよりハードルとハードルの間が狭くなっていて、子どもが3歩で跳べるように整えられています。 3歩で走ってハードルを跳ぶと歩幅とスピードを意識する必要がでてくるため、自然と前傾姿勢になって速く跳べるようになります。

レーンが登場すると、一番高いハードルを跳んでいた子たちが次々にチャレンジしていきました。
はじめこそ歩幅が合わずハードルを跳べない子がいたものの、すぐにコツをつかんで3歩で跳べるようになる子が現れました。
「普通はこんなにすぐにはできないよ。すごいなあ」と為末先生もビックリしていましたが、やればやるほどうまくなっていく児童たちの姿に
「もっと勢いをつけてみて! よし、いける!」と指導に熱が入りました。

最後は、お楽しみのデモンストレーションタイム。ハードルをオリンピックの高さまで上げられ、3人の児童がみんなの代表として果敢にチャレンジすることになりました。 「あれは高いわ!」「ぜったい無理や!」と不安がる子どもたち。けれど、なんと2人がハードルを倒すことなくしっかりを跳びこえ、みんなから盛大な拍手がわきました。

今度は為末先生の番です。オリンピックの高さのものを児童2人に少し持ち上げてもらい、さらに高くしたハードルを颯爽と跳びこえると「わあ、すごい!」と驚きの声が。 トップアスリートの走りを間近で見ることができ、先生や保護者からも大きな歓声があがりました。

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