電子レンジ調理と栄養
2023.2.27
第2回 電子レンジ調理のコツ

監修:福岡女子大学客員教授・料理研究家 村上祥子先生

電子レンジ

電子レンジの簡単ルール

第1回のコラムでは、電子レンジ調理法には、栄養面をはじめ、いろいろなメリットがあることを紹介しました。今回は実際に、電子レンジ調理を使いこなすためのコツについて、紹介します。

①作り方はいたって簡単。基本のルールを押さえておく

作り方は材料を切る→レンチンする→でき上がり、の3プロセスです。
レンチン時のみ、料理に合わせてちょっとだけ変えます。水蒸気を飛ばすかどうかで「ラップをかける。かけない」。加熱むらを防ぐために「電子レンジ対応容器の下に小皿を置く」。油分の少ない肉や魚を塩焼きやグリルするときは、魚の身が破れて無残な姿にならないように「クッキングシートを敷く」など。それも理由がわかれば簡単です。

②加熱時間は100gに対して600Wで2分と覚えよう


ひと目でわかる電子レンジのW数別加熱時間表

W数別加熱時間表

③ラップのかけ方で料理の仕上がりが変わる

ラップは電子レンジ調理のふた代わりです。ラップのかけ方によって水蒸気や水分量の調整ができるので、料理により、両端をあけてかける、ラップをふんわりかける、ラップをかけない、と使い分けます。

ラップのかけ方

ラップのかけ方

電子レンジ調理のおいしいコツ

美味しく電子レンジ調理をするための4つのコツを紹介します。

4つのコツ

①加熱後はすぐに取り出す。逆に余熱を利用する場合も

電子レンジがチンと鳴って加熱が終了したら、すぐ取り出してください。そのまま置くと、レンジ庫内の余熱による加熱が進みます。なめらかに仕上げたい茶碗蒸しなどの卵料理は、庫内に放っておくと“す”が立ってしまいます。ラップもすぐに外します。
逆に余熱を利用する場合もあります。チャーシューなどはレンチン後、庫内に5分ほど置いて蒸らすと、芯までふっくら加熱されます。

②レンチン後は余熱を利用してすぐに混ぜる

電子レンジ調理は原則として、だしや水は加えません。調味料だけで煮炊きをします。加熱が終了すると、肉や魚、野菜などから水分が出ます。この水分が煮汁になるので、ここで初めて全体を混ぜます。レンチン後、全体を混ぜることで味が均一になり、冷ましていただくものは、この間に味がしみこんでさらにおいしくなります。筑前煮なども冷凍野菜でもおいしくできます。

③クッキングシート+小皿で味をしみ込ませる

煮物や味をしっかりつけたいときは、材料にじかにクッキングシートをかぶせ、小皿をのせて落としぶた代わりにするとよく味がしみます。この方法はよく使うので、ぜひ覚えておいてください。
クッキングシートと電子レンジ対応の小皿(12~13㎝)は電子レンジ料理のマストアイテムです。

④皮があるものは切り目を入れて破裂を防ぐ

電子レンジは素材に含まれる水分を揺り動かし、水分は1700倍の体積の水蒸気に変わります。水蒸気が行き場を失うと、皮や膜があるものはそれを破って加熱中に破裂して飛び散ります。皮が付いているものや膜があるものは、切り目を入れる下処理をします。
鶏肉は皮を包丁で突いて穴をあけ、皮を下側にして加熱します。魚も表になる側の皮に斜めに1本、もしくは×の切り目を入れます。

電子レンジで気をつけたいこと

①電子レンジで使える容器と使えない容器とは?


電子レンジで使える容器と使えない容器があります。

使える容器と使えない容器

②電子レンジの種類によって庫内での置き方を変える

電子レンジはターンテーブルのあるタイプとないタイプがあります。使うときのテクニックに多少の違いがあります。各家庭の電子レンジがどちらのタイプかをよく確認してから料理を始めましょう。

ターンテーブルのあるタイプとないタイプ

③電子レンジは使ったら庫内を拭きましょう

蒸発した水分や調味料が庫内に残って乾き、こびりついたりします。さびたり、加熱むらの原因にもなるので、使ったら庫内を拭きましょう。