豆類は、形状や含まれている栄養素の違いにより、2つに大別されます。まず1つは、高脂肪で油の原料となる大豆や落花生などのグループです。もう1つは、いんげん豆、えんどう、レンズ豆などの“雑豆”と称される低脂肪のグループで、形状によりさらに3つに分類されています(図1)。
日本で最もよく食べられている豆類は大豆ですが、大豆の主要生産国であるアメリカやブラジルでは、ほとんどが油糧・バイオ燃料の原料・家畜飼料として消費されており、国によって大きな違いがあります。
日本には、古くから豆腐、納豆、醤油および味噌などの大豆加工食品を日常的に食べる食文化があります。国民一人当たりの乾燥豆当たりの大豆供給量は約20gで、豆腐や納豆などの大豆加工食品も含めた大豆摂取量は一日平均約60gとなっております。日本人は、世界と比較しても大豆を多く食べていることがわかります。(表1)
一方、雑豆類は、高たんぱく質・高食物繊維の優れた健康食材であるにもかかわらず、日本での摂取量は50年ほど一日平均約1~2gと大変低いままです(図2)。日本で大豆と雑豆の摂取量に隔たりがある理由として、雑豆の栄養的価値が十分認識されていないこと、雑豆加工食品の種類が少ないこと、そして料理方法が知られていないことなどが考えられます。
図3に、大豆と雑豆類の栄養成分組成を示します。たんぱく質含有量は、大豆が約34%、雑豆類は約17~26%とどちらも多く、両者とも優れた植物性たんぱく質源です。脂質は、大豆が約20%と多いのに対し、雑豆は約2~5%と低脂肪です。炭水化物については、雑豆類は利用可能炭水化物(糖質)が多いですが、これらの一部は調理加工などにより消化されにくい難消化性デンプン(レジスタントスターチ)に変化することが知られています。また、食物繊維はどの豆類も豊富で、特にべにばないんげんやあずきに多く含まれており、いずれも食物繊維の良い供給源といえます。