3時間目は4年生23名も新たに加わり、5年生、6年生と保護者の方々を対象にした食育の時間です。 講師はJリーグの清水エスパルスをはじめ、世界の最前線で活躍するトップアスリートを栄養面でサポートしているスポーツ栄養士の第一人者、こばたてるみさん。 今年度は趣向を変え、子どもたち自身に献立を考えてもらう新企画がスタートしました。 テーマは「運動会で活躍するためのお弁当」。各学年とも事前に班に分かれ、さまざまな食材を組み合わせてメニューを考えてきてもらいました。



カラダを強く大きく育てる、食べ物の力。

まずは、こばたさんが為末先生に「現役時代は試合前の食事にはどんなことに気を付けていましたか?」とインタビュー。 すると為末先生は「走る直前に食べないこと、揚げ物は試合中に胃が持たれるので食べないこと、あとは炭水化物を多めに摂るようにしていました」と現役時代のエピソードを披露しました。 「為末先生のお話にはたくさんのヒントがあります。というのも私たちのカラダはすべて食べ物からできているので、いつ何をどう食べるかによって体調は大きく変わってくるんです」とこばたさん。

スクリーンでは参考例として、現役Jリーグ選手や日本一になった社会人ラグビーチームの選手が実際に食べている食事メニューが写真で紹介されました。ボリューム満点のメニューに児童たちも驚いた表情でしたが、続いて2人の小学6年生の食事が紹介され、1人が強いサッカーチームの選手、もう1人がそうでない選手のものだと紹介されると、あまりの内容の違いに一同爆笑。 「この2人は身長も体格もほぼ同じ、練習頻度も同じですが、朝も夜もしっかり食べている選手のほうが体力テストの結果がいいことがわかりますね。みんなはまだまだカラダが大きくなっていく時期だから、しっかり食べてほしいと思います」と、こばたさんは成長期の食事がいかに大切かを児童たちに説明していきます。

続いて、こばたさんは児童たちに「どんぶりでごはんを食べている人!」と質問。ほとんど手が挙がらないので「じゃあ茶碗2杯は食べている人!」と聞くと、今度はかなりの人数が手を挙げました。「僕もごはんはいつもおかわりして2杯は食べていましたね」と為末先生。 「すばらしいですね。普段ご家族の方々は栄養がちゃんと摂れているかな、同じ食材に偏っていないかな、季節感はどうかな、いろどりはどうかな、地元の食材を使っているかな、値段はどうかな、といろいろなことを考えながら献立を考えてくださっていると思います。
今日はそこにプラスαを加えることで、よりよいメニューにするためのポイントをご紹介していきたいと思います」とこばたさん。


いよいよ児童たちの発表の時間です。各班で考案したお弁当を写真で紹介しながら、代表者がメニューについて解説しました。

4年のみなさんのお弁当

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4年1組1班

「このお弁当にしたのはごはんとお肉、野菜など、たんぱく質やカルシウムが入っていて、カラダにいいからです。デザートのイチゴはビタミンCが入っていて、すごくいいと思いました」

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4年1組3班

「グリーンアスパラガスのマスタードサラダは、いろいろな食材が入っていて飽きないと思います。卵焼きは栄養があっていろどりもいいです。牛乳はカルシウムがあって元気が出ると思います」



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4年1組2班

「カボチャはビタミンが豊富だし、うなぎは元気が出そう、ごはんの上に梅干しを載せたのはクエン酸が豊富で塩分もあるので、熱中症も防げそうです。主食や副菜や野菜を混ぜて栄養いっぱいのお弁当にしました」


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4年1組4班

「主食はカロリーが少なめの菜飯にしました。主菜には疲労回復効果のある豚肉を使いました。副菜はカロリーの低いブロッコリーのおひたしと、骨を丈夫にするカルシムが入ったカッテージチーズのサラダにしました」



「小学生からクエン酸という言葉が出るとは!、4年生は栄養効果を考えたメニューが豊富。」

「緊張するとカラダの中のビタミンCが使われてしまうので、ビタミンCが豊富なイチゴやキウイなどで補うのはいいですね。梅干しやグレープフルーツなどに含まれるクエン酸と、ごはんやカボチャ、おいもなどに含まれる糖質を一緒に摂ると疲労回復に役立つと言われています。」


5年のみなさんのお弁当

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5年1組1班

「3食そぼろごはんは卵、野菜、肉が入っているのでバランスがとれていると思います。主菜は元気が出るうなぎのかば焼きにしました。副菜の野菜サラダには、リコピンが入って元気になるトマトを入れました」

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5年1組3班

「食欲が進むように色とりどりのお弁当にしました。かやくご飯はごはんだけで食べられるから選びました。いちごに旗をつけてかわいくしました。肉ばかりだと胃がもたれてしまうので、野菜を多くしました」


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5年1組2班

「低カロリーで栄養バランスを考えた、おいしそうなお弁当です。大人にはなさそうな、自由なお弁当にしてみました。お弁当には野菜が必要だと改めてわかったし、飲み物があったほうが食べやすいと思いました」


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5年1組4班

「牛肉の網焼きは、食べると元気が出そうだと思ったので選びました。フライドポテトはケチャップを使って塩分も取れるので、熱中症になりにくいと思いました。ほうれん草は栄養がとてもあるので選びました」



「いろいろな栄養素を一度に摂れる炊き込みごはんなど、食欲が落ちても食べられる献立を選んでいて、よく考えてますよね。」

「栄養価の高い食材を上手に取り入れながら、いろどりや見た目のかわいさなど、ビジュアルにこだわったものが目立ちました。緊張しやすい運動会で楽しくなるお弁当はいいですね!」


6年のみなさんのお弁当

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6年1組2班

「このお弁当では午後も活躍できるよう考えました。運動会はカラダを成長させるチャンスなので、それを手助けする栄養素を多く取り入れました」

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6年1組4班

「お腹いっぱいになるように考えました。バナナはエネルギー補給として、イチゴとキウイはお口直しといろどりとして選びました。栄養バランスを考えて、カロリーが高くなりすぎないようにしました」


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6年1組6班  

「見た目は赤、黄、緑などの色あいになるように並べました。運動会でやる気が出るような弁当にしました。カロリーは高すぎず、低すぎないようにしました」


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6年1組1班

「3色そぼろにした理由は、みんな卵が好きで、野菜は栄養があり、おいしく食べられるからです。フライドポテトはみんなポテトが好きだから入れました。カロリーが高いメニューが多いのでブロッコリーでさっぱりしました」


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6年1組3班

「せっかくの運動会なので、みんなが食べたいものを選びました。いろどりや盛り付けの位置などを考えながら、力がつくようにお腹にたまりそうなものを選んだり、栄養のバランスを考えながらおいしいものを選びました」


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6年1組5班  

「こってりとした油っぽいものを少なくしました。わかめはミネラルがたくさんあるので、ごはんにわかめを入れました。バナナはエネルギーが簡単に取れるように入れました。生姜焼きなど定番メニューを入れました」



「6年生のお弁当は好きなメニューや栄養のある食材をふんだんに取り入れて、ボリューム満点ですね。」

「カロリーオーバーになったお弁当については、例えばフライドポテトの場合、おいもを太めに切って揚げて油の量を抑えるなど、ちょっとした工夫でカロリーダウンできます。」

栄養、見た目、カロリーなど総合的にバランスよく考えられた 6年5班、6班のお弁当に、こばたさんより優秀賞のトロフィー マークが贈られました。



ここで満を持して?為末先生が考案したお弁当が登場。
「秋なので秋の食材を選び、たんぱく質を多く摂るため牛肉を選びました」というこだわり弁当でしたが、写真を見た子どもたちからは「茶色いっ!」と総ツッコミが。
「季節のものを選ぶのはとてもいいポイント。炊き込みごはんもそのまま食べられるので、さすがですね」と評価しながら、こばたさんは運動会でのお弁当づくりにあたって
①運動中のエネルギー源となる糖質を確保する、
②糖質をエネルギーに変えるビタミンを一緒に摂る、
③油ものは控える、
④運動後は疲労回復を早めるために糖質とたんぱく質をすぐに摂る、 という4つのポイントを意識してほしいと説明。保護者の方々も熱心に聞き入っていました。
「これからも夢や目標に向かってチャレンジしていってくださいね」と最後にこばたさんが子どもたちにエールを贈ると、為末先生も「いっぱい食べることと、選んで食べることってすごく大切な力です。今日は何を食べればいいかな?と考えながら食べると、スポーツでもいい結果が出ると思います。どうかこれから今日覚えたことを生かしてください」とメッセージを語りました。

これで爲末大学食育学部の授業はすべて終了となりました。

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