校長先生、ご担当いただいた先生、そして為末先生にも本日の感想をうかがいしました。

受講のきっかけ

名古屋市内の小中学校では11~12月に「なごやING(いじめのない学校づくり)キャンペーン」を実施しているのですが、その一環として私は「夢を実現するためには子どもたちがお互いの夢を尊重しあい、応援しあうことがとても大事だ」という話を子どもたちにしております。5年生、6年生にはその地盤ができつつあるなと感じておりますが、さらにそれを強固なものにしてほしいと思い、爲末大学食育学部がよいきっかけになるのではと思っておりました。(校長談)


名古屋市立西築地小学校 積光 高史 校長

為末先生のお話は普段私たち教員が話している内容とマッチしていたので、とてもよかったですね。私たちが日頃話していることを、為末先生も同じことを言ってみえるんだということで、子どもたちの胸にもしっかりと響いたんじゃないかと思います。

ハードルの授業はもっと時間を取れたらよかったなとは思いますが、子どもたちがすごく楽しそうでしたね。子どもたちは普段から声もよく出るし、男の子と女の子がペアで体操をやるという風景はよその学校ではあまり見られないんじゃないかと思いますが、男子も女子も垣根がないというか、お互いを尊重しあっている空気が日頃からあります。今日の授業でもそれを感じましたので、これからも大切にしてほしいと思いますね。

夢の授業では夢の奥深さを感じました。為末先生が子どもたちの夢に質問して、掘り下げて導いてくださったので、子どもたちが自分自身で考えるよいきっかけになったんじゃないでしょうか。食育に関しても、お弁当を通じていろいろなことを感じてくれたと思います。ひとつだけ言えるのは、食育や夢の授業中に子どもたちの意見を受けて、保護者の方々からコメントをいただけるとよかったかなと思います。夢の話などは特に、家ではなかなかできないと思いますから、親子で意見交換ができると楽しそうですよね。

為末先生は、とても余裕のある方だという印象でした。自ら積み上げてきたものが支えとなって、経験に裏打ちされた自信というものは計り知れないと思います。そして、子どもたちにそれを感じてもらうよいきっかけになったんじゃないかと思いますね。


名古屋市立西築地小学校 鵜飼 勇次 教頭

子どもたちは普段担任の先生としか話さないわけですが、今日は例えば陸上選手としてオリンピックに出たいと思っている子が、本当にオリンピックに出ている人と話したり、アナウンサーになりたい子がアナウンサーと触れ合ったり、専門の方と直に話せたことで夢がより具体的になったり、「こういう風になりたいな」という思いが強くなったんじゃないかと思います。

子どもたちの夢は多彩でしたよね。小学生にありがちなのが、みんながみんなサッカー選手になりたいとか偏りがちなんですが、まわり人の意見に影響されずにそれぞれの夢を語ってくれたのがすごくよかったなと思います。個性がよく出ていましたし。普段は目立たない子が個性的な夢を語ってヒーローになったりして、新たな一面を見せるよいきっかけになったかもしれませんね。

為末先生は子どもの扱いがうまいというか、走るのが速くなるコツやハードルを上手に跳べるコツなど、コツをおさえた教え方をされていたので、子どもたちにも伝わりやすかったんじゃないでしょうか。


名古屋市立西築地小学校 5年2組担任 阿部 竜二 先生

普段から体育が好きな子が多いんですが、今日は特にイキイキとしていたのが印象的でした。あの高さのハードルを跳ぶのは初めての子ばかりでしたから、ケガが少し心配でしたが、経験のない高さを飛び越えるチャレンジ精神で前向きに取り組んでいたかと思います。たくましいなあと頼もしく感じましたね。

夢の授業については、まだ夢を持てていない子が多かったり、夢に近づくためにはどういう段階があり、何をしていくといいのかわからない子が多いと思うので、子ども同士が話し合うことでその道筋が少しずつ見え始めたり、まわりの子どもたちに「それいいよね」といわれることで、夢の実現につながっていくのではないかと思いました。子どもたちにとってすごくいい経験になったなと思いますね。

今日は走るのが苦手な子もしっかり活動していたので、その子たちの自信にもつなげていきたいと思いますし、みんなで身体を動かことが大切だと思っていますので、今日の一体感、一緒にスポーツする喜びを大切にしながら今後の授業を進めていきたいです。

為末 先生の感想 西築地小学校の子どもたちはみんな自発的で、すごく楽しい授業になってよかったなと思います。とても元気な子が多いなという印象で、何を聞いてもすぐに手を挙げるというのはすごい。子どもが自発的になる、というのは一番大事なことで、爲末大学食育学部でも子どもたちが自分で動くようにすることを心がけているのですが、今回はとてもうまくいったんじゃないかと思います。

ハードルの授業については、一番高いハードルは小学生にはなかなか跳べないと思うんですが、最初からみんな跳んでいて驚きました。もともと体力があって、挑戦心が旺盛な子どもたちなんでしょうね。だからあんな高さにチャレンジするんだと思いました。また夢の授業では、子どもたちと話していて「この子の夢には原点があるんだな」と思う子がけっこういたんです。つまり以前ある体験をしたことで、自分の夢ができあがっている。年齢的にはそこがふわっとしていることが多いので、僕の中には新たな発見でした。何歳で何をするということよりも、自分の進む方向性を考えるということが本当に大切なことで、今日の子どもたちは自分で発言をするし相手にもよく質問していて、とてもよかったですね。

今日は佐藤選手に参加してもらいましたが、僕はだんだんパフォーマンスができなくなるので、現役選手が子どもたちの前で見せてくれるというのは非常によかったと思います。パフォーマンスという意味だけでなく、まさに夢を実現しようとしている人を間近で見るというのは、夢を考えることにも役立つ気がします。選手にとっても、子どもと触れ合うってすごくいいんですよ。ですから今後も機会があれば、ぜひ現役選手に参加していただきたいと思っています。


佐藤 圭太 選手の感想 これまで個人で小学校を訪問したことはあったんですが、為末さんと一緒に半日かけてみっちり授業に参加できて、僕にとってはすごく勉強になりました。子どもと一緒に作っていく時間が多かったので楽しかったですね。

いろんな子どもたちと話しましたが、僕が小学生の頃は漠然とした夢しかなかった気がしますが、みんなちゃんと夢のプロセスを考えていてすごいなあと思いました。僕が子どもの頃はサッカー選手や料理人、建築士と夢がコロコロ変わっていましたね。サッカーは好きでしたが、地元・静岡はサッカーが盛んだったので、逆にプロ選手になれるような自信が持てなかったんです。陸上をやろうと思ったのは、15歳で義足になってから。サッカーをやろうと思ってリハビリ目的で陸上を始めたんですが、だんだん陸上選手としてやっていきたいという気持ちが強くなって、大学進学する頃には陸上でパラリンピックをめざすと決めていました。

子どもたちは、まだ自分がどういう過程をたどっていくのか見えてきていないと思うし、全国にどんな人がいるのか、自分はどんなレベルにいるのかということは知らないと思います。だからこそ、そういう時期に純粋に夢について考えるのはすごくいいと思うんですよ。大人になるといろんなことを考えてしまうのですが、無の境地のほうがすごいパワーが出ることがあります。みんなにはそういう気持ちを大切にしてほしいですね。


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