話し合いにあたって、為末先生から話し合いに関する3つのルールが紹介されました。
「1つめは、まわりがどう思うのかなということは忘れて、自分がどう思っているかということを考えてください。2つめは、クラスの中で自分しかいないだろうという、みんなと違う夢を話してみてください。3つめは、友だちにどんどん質問したり、こうしたらどうか?と話してみてください。あとは自由に話してみましょう!」
事前授業で考えたの夢の発表-自分の考えを人前で話す-
まずは、みんなが考えてきた夢について発表してもらいました。「発表してくれる人、手を挙げて!」と為末先生が問いかけると、児童たちから次々に手が挙がりました。
「プロ野球選手になって活躍することと、無理だったらIT企業で働くことです」
「小学校の先生になって、みんなに好かれる先生になりたいです。友だちの大切さとか、社会に出たらどうするかとか教えたいです」
「プロサッカー選手になってコンサドーレ札幌に入りたいです。将来は都倉賢選手みたいにシュートが上手な選手になって、得点王になりたいです」
「レスリングを習っているので、将来はレスリング選手になりたいです」
「小説家か漫画家になりたいです。高橋留美子が好きです」
中には「市役所職員になりたいです」という児童に「どんな職員になりたいですか?」と為末先生が聞くと「できるだけ人と接しないところへ行きたいです」と答えて会場は爆笑。「将来はお金持ちになりたいです」と発表して「どれくらい稼ぎたいですか?」と聞かれると「世界を掌握できるくらい」と回答する児童も。また「国連に入って世界で働きたいです。トリニダード・トバゴに行ってみたいです」と児童が発表すると「先生はつい最近トリニダード・トバゴに行っていたんだよ!」と為末先生が盛り上がる場面もありました。
話し合い-夢のストーリーをみんなで話し合う-
発表が終わると、いよいよ各自の夢についてストーリーを考える、話し合いの時間です。
「何歳の時にどうなっているのか、どうやって夢にたどりつこうか、具体的に考えてみてください」という為末先生の号令で、4人グループでの話し合いがスタートしました。
具体的な職業がイメージできている児童がいれば、「人の役にたつ人間になりたい」など漠然としたイメージだけ抱いている児童など、夢に対する思いはさまざま。ふだんから男女問わず仲がいいという長山小、松葉小の6年生は、話し合い開始直後から各グループで積極的に会話を交わしていました。為末先生も各グループの中に入って「歴史学者って、たとえばどんな歴史なの?」「レスリングはいつからやっているの?」「オリンピックに出るなら2024年?2028年?どっちにする?」と児童たち1人1人に問いかけて、ストーリーをふくらませるきっかけを作っていきます。
「どうしたら市役所職員になれると思う?」「面接でいい印象を与えたらいけると思う」というやりとりがあったり、「お金を稼いだら何をするの?」「IT企業をやったらどうか」「競馬で儲けたらいいんじゃないか」といった意見が飛び交うなど、さすが卒業を控えた6年生だけあって?話し合いの中には大人顔負けのリアルな意見もちらほら。「計算が苦手で」と悩む児童に「慣れればできるよ!」と別の児童が励ますなど、会場は終始子どもたちの熱い話し合いで盛り上がりました。
発表-夢を具体化し、目標を設定する-
話し合いが終わり、児童が話し合いの中で考えた「夢のストーリー」を発表してもらう時間です。為末先生が「じゃあ発表したい人!まずは12月が誕生日の人から発表してみようか!」と呼びかけて、児童の発表がスタートしました。
「夢はプロ卓球選手になることです。中学校、高校で卓球部に入って、いろいろな技を覚えて25歳ぐらいまでにはプロ選手になりたいです。プロになったら強い選手と戦いたいです」
「レスリング選手になることです。中学まではクラブチームでがんばって、高校は強豪校に入り、大学も名門校に入って大きい大会で活躍して、オリンピックに出たいです」
「夢は小学校の先生で、大学で先生になる勉強をしてアルバイトも普通にやって、23〜28歳の間に試験に受かって、28〜30歳は龍ケ崎市内の小学校で雇ってもらって、その後いろんな学校に行って、定年までがんばりたい」
「私の夢は保育士になることです。高校を卒業したら専門学校に行って、保育士になって子どもたちに好かれる先生になりたいです」
「私の夢は女優になることです。鈴木梨央みたいになりたいです」
「医者か弁護士になりたいです。中学・高校で知識を増やして、大学で資格を取りたいです。最終的には地球温暖化とか伝染病をなくしたいです」
児童の中には発表することに抵抗がある人も多いようで、為末先生が呼びかけても手が挙がらない場面も。児童にとって人前で夢を語るというのはプレッシャーがかかるものですが、為末先生は「みんなの前で夢を話したほうが、夢がかないやすいんですよ。損することはないから、どんどん話してみよう!」と児童たちに語りかけます。
また、途中で児童たちにとって最も身近な先生の夢についても質問。「3月までアルゼンチンの日本人学校で教えていたので、もう一度海外で先生をやってみたいです。アルゼンチンはサッカーが盛んで、子どもたちは夜までボールを蹴って遊んでいました。食べ物は日本人の5倍肉を食べますね」という先生の話に児童は興味津々でした。
まとめ
最後に為末先生からメッセージが贈られました。
「今日は、みんなの夢を聞くことができてよかったです。今日発表しなかった人も心の中にこんなことやってみたいと夢があるかもしれないし、まだぼんやりとしかわからない人もいるかもしれないけど、今日友だちと話した中で自分なりに考えてくれたらいいなと思います。
最後にみんなに<夢がかなうコツ>についてお話したいと思います。1つめは、とにかくやってみるということ。やってみて、違っていたらやめたらいいんです。大事なのは、トライすること。2つめは、友だちの夢を応援するということ。今日はいろんな友だちの夢を聞いたと思うので、これから友だちの夢を応援してあげてください。3つめは、思いを大事にするということ。大人が夢は何ですか?と聞く時、職業を聞くことが多いんです。でも本当は、職業は手段であって、その職業になった時にどんなことがしたいのか、というのが夢なんですね。たとえば野球でファンを喜ばせたいというのが夢で、そのためにプロ野球選手になるんだということ。今はよくわからないかもしれないけど、自分はどんなことをしたいのかという夢のむこうにある思いを考えていってくれたらいいなと思います」 と児童たちにエールを贈り、爲末大学食育学部の授業はすべて終了となりました。