静岡市立川原小学校 瀧本 貴行 校長
為末先生は、授業の冒頭で楽しいゲームをしてくれるなど、子どもたちをリラックスさせる手腕はさすがでした。おかげで子どもたちはすぐに先生と打ち解けていましたね。ハードルの授業では、子どもたちが為末先生からアドバイスをもらいながら跳ぶたびに上手くなっていくのがわかり、たのもしく、うれしく思いました。そして子どもたちの生き生きとした表情から、楽しんで授業を受けていることがわかりました。
本校では、静岡市の施策として日ごろから体力アップに力を入れていることに加え、子どもたちは運動会、なわとび大会など行事ごとに目標をたて、その目標に向かって努力しています。今日のハードルの授業でも、子どもたちは1つ1つ課題をクリアして上達していくことの楽しさを改めて学習できたと思います。
個人的には、為末先生はお会いしてみると、身長など日本人の標準的な体格で、その体で世界の舞台で競い合ったということに驚きました。授業ではハードルを跳んでくださり、一瞬でしたが“本物”を見せていただいたことは、私自身感動したのはもちろん、子どもたちにとっても、それぞれの夢を前に進める力になるような、貴重な経験になったことと思います。
静岡市立川原小学校 早川 泉 教頭
為末先生は子どもたちとのコミュニケーションを大事にしながら授業を進めてくださったので、子どもたちは普段通り、活発に授業に取り組めていました。
夢の時間については、子どもたちはしっかりグループで話し合い、夢について考えることができていたと感じました。本校では、総合的な学習の時間で将来について考えたことがあり、普段の授業でも話し合いをしています。為末先生から「夢を現実的に描けている」とお言葉をいただきましたが、今回の授業で日ごろの成果を発揮できたのも、とても良かったです。
また、星先生の「最初は夢だったというオリンピックがやがて目標になった」というお話が印象に残っています。子どもたちにとって、これから夢を単なる夢ではなく実現していくための良い刺激になったのではないでしょうか。そして何より、星先生がイアン・ソープ選手の泳ぎを見て夢をふくらませたように、今回トップアスリートの為末先生と星先生、選手を栄養面で支えるこばた先生とふれあえたという思い出が、子どもたちが夢に向かって努力する際の大きな財産になると思いました。
為末先生の感想
川原小学校の子どもたちはみんな素直で、きちんと考えることができると思いました。ハードルの授業ではすぐに上手に跳べる子が多かったので、普段から体をよく動かしていることがわかりました。そこで途中でハードルの間隔を変えて、ハードル間を3歩で跳ぶレーンを取り入れてみました。
最初に跳んだ高さより高いハードルにチャレンジしていく子もいましたね。ハードルをたおして転んでしまう子もいましたが、授業でも言ったように、気にしなくてOKです。また、転ぶと痛いだけでなく恥ずかしさもあるので、私は必要以上に「だいじょうぶ?」と声をかけないようにしています。そして転んでも立ち上がり、もう1回チャレンジすることを大切にしています。
ハードル走だけでなく、短距離も長距離も走る競技は、「走るのが速い子が速い」と、生まれついての才能だと思っている子が多いんですね。そこで、爲末大学食育学部では、最初から走り方、跳び方を全部教えるのではなく、段階的に教えることで、工夫や努力で変われるかもしれないということを感じてもらおうと考えています。
トラック競技の中でもハードル走は、自分でこの高さを跳ぶと決めてチャレンジしないと始まらない競技です。ハードルの授業を通して、運動だけでなく、自分で目標を決めてチャレンジして1つ1つクリアしていくことの楽しさに気づいてもらえるといいですね。
こばた先生の感想
私も、川原小学校の子どもたちは素直な子が多いと思いました。食育については、みんなすでに基本的な栄養の知識があったので素晴らしかったです。これからは、ご飯と味噌汁とおかず、という組合せだけでなく、たとえば味噌汁の具の内容まで含めて、栄養のバランスを考えられるようになれるといいと思います。
食事は毎日のことなので、今日の授業を通して少しでも、健康づくりに役立つようなよりよい食事を考えられるようになってもらえたらうれしいです。
星先生の感想
現役を引退した後、学校で講演をする機会をたくさんいただくようになりましたが、子どもたちの輪の中に入ってふれあう機会はあまりないので、今日はとても楽しかったです。
また、為末先生の授業に参加して、子どもたちの心のつかみ方など、とても勉強になりました。夢には2つあるというお話しもとても良く、今日は子どもたちの思い出に残る日になったのではないかと思います。
夢については、みんな具体的で、将来に積極的な姿勢で向かっている子が多いと感じました。私自身の次の夢は、水泳選手を目指す子どもたちを応援すること。たとえば私の出身地の埼玉県には、50mプールは屋外にしかないため、子どもたちは夏しか50mプールで練習することができません。そこで、いつか50mの屋内プールを作れるように頑張りたいと考えています。