話し合いにあたって、為末先生から3つのルールが紹介されました。
「1つめは、今日はまわりがどう思うのかなということは忘れて、自分がどう思っているかということを考えてください。2つめは、みんなと違う夢を発想してみてください。3つめは、友だちにどんどん質問したり、こうしたらどうか?と話してみてください」
夢の発表 −自分の考えを人前で話す
まずは、みんなが考えてきた夢について発表してもらいました。「発表してくれる人、手を挙げて!」と為末先生が問いかけると、児童たちから次々に手が挙がりました。
まずは、みんなが考えてきた夢について発表してもらいました。「発表してくれる人、手を挙げて!」と為末先生が問いかけると、児童たちから次々に手が挙がりました。
「僕の夢は大工です。とにかく大きい家を建築したいです」
「僕の夢はバスケットボールの選手です。プロの選手になって、エースになりたいです。ポジションはガードがいいです。新潟のチームの選手になりたいです」
「僕は弁護士になって、困っている人を助けたいです。25歳ぐらいで弁護士になれればいいなと思います。犯人を弁護で倒すというドラマを見て、いいなと思いました」
「夢はウェディングプランナーです。海が見える綺麗な式場で、花みたいな人にしてみたいです」
「僕の夢は医者です。小児科のお医者さんになって、人の役にたちたいです」
「養護学校の先生になって手話を教えたいです。手話サークルに入って、手話ってすてきだなと思ったからです」
「将来の夢は獣医さんです。ダックスフントや小型犬を治したいです」
手話を習っているという児童に為末先生が「手話で自己紹介してみて」とリクエストすると、なめらかな動きで「私の名前は・・・」と自己紹介を披露。「すばらしいね!どうやるの?」と興味津々な為末先生に手話を手ほどきする場面もありました。
話し合い-夢のストーリーをみんなで話し合う-
発表が終わると、いよいよ各自の夢についてストーリーを考える、話し合いの時間です。
「何歳の時にどうなっているのか、どうやって夢にたどりつこうか、具体的に考えてみてください。大事なポイントは、たとえば大工さんやバスケットボール選手になるとして、それで何をしてみたいかを考えてほしいっていうことです。バスケットボール選手になって3ポイントシュートを年何本打って、優勝したら町の人が優勝パレードしてくれた、という風に最後まで考えてみてください」
為末先生の指示をもとに、グループで15分間の話し合いがスタートしました。
さっそく輪になって話し始める児童たち。為末先生やこばた先生も児童たちの輪の中に入って、一人一人の夢について聞いていきます。小学生の間で人気のユーチューバーになりたいという児童に会うと「いつから番組を作るの?」「18歳?じゃあそれまでに何をやる?」「番組名はどうする?」と質問ぜめ。そうかと思えば「億万長者になりたい」と書いた児童には「億万長者か、相当稼がないといけないな!何して稼ぐ?」と興味津々。
児童たちどうしも「医者って何歳でなれるの?」「シンパイテイシって何?」「高校を卒業して消防士になればいいんじゃない?」と活発に意見交換。またカメラマン志望の児童は、会場を撮影していたカメラマンに逆質問する場面も。
夢について真剣に考える機会が少ないということで、苦戦する人も多いようでしたが「何歳で〇〇をして、何歳でこういう風になる、という風に具体的に数字を書いたほうが、夢が実現する可能性が高くなるんですよ。みんなもできるだけ数字を書き込んでみよう!」と為末先生に促され、考え込みながらも真剣に書き込む姿が印象的でした。
発表-夢を具体化し、目標を設定する-
話し合いが終わり、話し合いの中で考えた「夢のストーリー」を発表してもらう時間です。為末先生が「じゃあ発表したい人!」と呼びかけて、元気よく挙手してくれた児童から発表がスタートしました。
「僕の夢は大工になることです。22歳で2級建築士になって、24歳で1級建築士になって、そして大統領みたいなえらい人のおうちを作りたいです」
「プロ野球の選手になりたいです。18歳でプロになって、大谷選手みたいに二刀流で活躍して、160kmくらいの球を投げられる投手になりたいです。自分が活躍することでお父さんとお母さんが喜んでくれると思います」
「僕の夢はユーチューバーです。芸名は、ゆっちゃん。番組名は【ゆっちゃんねる】でお願いします。みんなに愛されるユーチューバーになりたいです」
「僕の夢はユーチューバーです。科学系の実験や、商品で遊んだり、いろいろなことをしたいです。18歳ぐらいでなりたいです。ユーチューバーになるには商品を買ったりするお金が必要だと思います。あとは科学の大学に入って、理科の知識を身に付けます」
「夢はプロバスケットボールの選手です。大学を卒業してプロに入って、そこからNBAに入って、誰でも知っているような選手になってチームを優勝に導きたいです。そうなって、親を喜ばせたいです。NBAになるために、小学校から自主練習をします」
「私は大学を卒業して、美容師になりたいです。人の髪に触ることが好きだからです。人の髪を自分の手で男の人も女の人もキレイにしたいです。やってる間に面白いおしゃべりや、優しく話しかけられる美容師さんになりたいです」
話し合いの前はシートの空欄が目立ちましたが、話し合いの後はびっしり書き込んでいた児童も多数。また発表してくれた児童に為末先生が「18歳で選手になるには、小学校の間に何をしたらいいですか?」「夢を叶えたときに誰が喜んでいると思いますか?」とインタビューすると、「学校が終わって毎日素振りをします」と答える子や「わからないので後で調べたいと思います」と話す子など、それぞれにしっかり考えて先生に応えていました。
まとめ
最後に為末先生からメッセージが贈られました。
「最後にみんなに<夢がかなう秘訣>について4つお話したいと思います。1つめは、とにかくやってみるということ。今はネットで検索するといろんな情報が手に入ります。だから興味があることはすぐに調べてみて、調べるだけでなく明日からすぐにやってみてほしいんです。1回やったからずっとつづけなければいけないわけじゃなくて、やってみて違うなと思ったら他のことを試してほしい。大事なのは、とにかくやってみるということです。
2つめは、これは不思議なんだけど、友だちの夢を応援する人は夢がかないやすいというのがあって、お互いを応援しあうと夢がかないやすいことがわかっています。ぜひ友だちの夢を応援してほしいと思います。
3つめは、思いを大事にすること。たとえば大統領の家を建てたい、野球選手になりたいという夢があるとして、なぜ大統領の家を建てたいのか?なぜ野球選手になりたいのか?と考えてほしいということです。
自分がヒーローになりたいのか。誰かに優しくしたいのか。そこには必ず思いがあって、こんな風にしてみたいということを頭の中で描くことが大事。それさえはっきりすれば、思いをかなえるためにいろんなやり方を考えることができます。これからみんなの夢は変わっていくかもしれないけど、それでもいいんです。変わってもいいから、とにかく考えつづけて書いていってほしいと思います」
そう児童たちにエールを贈って、爲末大学食育学部の授業はすべて終了となりました。