校長先生、担任の先生、そして為末先生にも本日の感想をうかがいました。

受講のきっかけ

爲末大学食育学部の授業は、表面的にはハードルの練習や食育の授業といった一般的な内容なのですが、実はその裏には世界で戦うためにどんなエネルギー源を摂ればのかといった狙いが隠されていて、それがすばらしいと思います。しかも世界で戦ってきた、ご自身がさまざまなご苦労をされた為末先生が学校へ指導に来てくださるということで、非常に価値のある機会だと思い、受講させていただきました。
(沼垂小学校 須田哲明校長)


新潟市立沼垂小学校 須田 哲明 校長

今日は本当にあっという間の3時間でした。授業に参加した5年生はとても素直でいい子が多いのですが、体は大きいほうではありませんし、飛び抜けて運動能力が高いわけでもありません。しかし為末先生の魅力でしょうか、みんな楽しんで授業に参加していたように思います。

今、新潟市はどちらかというと学力重視の流れにあると思うのですが、当校は明治時代からの知・徳・体という調和の取れた教育を大事にしたいという思いがあります。そのためにはカラダ、つまり運動も大事だろうということから、現在、体育に力を入れてさまざまな取り組みを行っています。ふだんから全学年で跳ぶ、投げる、といった運動のもとになる「感覚づくり」の運動を行い、子どもたち自身がすすんでカラダを動かし、めあてを決めて自主的に努力をするという環境づくりを心がけています。

広いグラウンドはもちろんですが、築山のある中庭やドッジボール専用コートもあります。また校舎の間には手すりが備え付けられ、子どもたちが一輪車で動けるようになっています。子どもたちはそうした恵まれた環境のなかで、自然とカラダを動かしながら過ごしていますので、為末先生から「運動神経のよい子が多い」というお言葉をいただけたのは本当に嬉しかったですね。

食育は学校でも学習していましたが、ひとつひとつの料理にどれくらいカロリーがあり、消費するにはどれくらい運動する必要があるのかということは、子どもたちも今日初めて知ったと思います。単にカードを探すゲームだけではなくて、カードに書かれていることを読んで「なるほど」と思った子も多かったんじゃないでしょうか。

夢の授業については為末先生が「今現在夢をもっていない子は、それでもいいんだよ」と、比較的やわらかいスタンスで子どもたちに接してくださったのがよかったですね。今の子どもたちはなかなか夢をもちづらく、もったとしても現実は厳しいと捉える子が多いので、おぼろげだった夢が今日の授業で少し明確になってよかったと思います。

今後は当校の特色である体育と合わせてキャリア教育に力を注ぎ、夢を描いていくこと、夢を具体化していくことの大切さを伝えていきたいですね。それがやがて子どもたちの中で「生まれ育った地域を大事にしよう」という思いにつながっていければと考えています。



新潟市立沼垂小学校 5年2組担任 裏田 雄大 先生

5年生の子どもたちはとても素直でいい子たちなんですが、目標に向かって努力するのは少し苦手で、まだぼんやりと時間を過ごしてしまいがちなところがあるんです。ですから今日の3時間、特に最後の夢の授業で夢に向かって「ああしようこうしよう」と真剣に取り組んでいるのを見て、一番近くで彼らを見てきた私としては本当に満たされた気持ちになりました。為末先生はプロフェッショナルな方ですし、夢を追い続けている方だと思いますので、そういう方と直に関われたのはすごくいい経験になったと思います。

学校のハードルの授業では、なかなか勢いに乗れずうまくいかない子が多かったので、「ハードルの上にあるドアを突き破る」という為末先生の説明は子どもたちには効果絶大!授業の間にすごく上達していて驚きましたね。個人的には授業の最後に為末先生と一緒に走れて幸せでした。いやー、速かったです!1歩の歩幅が非常に大きくて、体つきもアスリートという感じで全く違うなあと痛感しました。

夢の授業については、すでに夢に向かって準備を始めている子もいれば、今の自分が楽しいことを夢だと感じている子もいてバラツキがありましたね。ただ、ふだんとてもシャイな子どもたちなので、自分から手を挙げて人前で発表しているのを見て本当に驚きました。これまで夢について書くことはもちろん、ゴールまでの道筋を考えたり、ゴールしたときの状況を想像することもほとんどなかったはずです。それでも一所懸命、前のめりにがんばっている姿を見て、こういう機会をいただけて本当によかったと思いました。

今ある職業の6割はいずれAIにとって代わられる、とよく言われます。情報機器も加速度的に進化している中で、先の見えない将来を生きていく子どもたちですから、1歩1歩自分で人生をデザインしていける力を身につけてほしい。そのためにも自分のやりたいものを探して、そこにたどりつくまでのプロセスを一緒に考えていけたらなと思っています。


為末先生の感想

今日はとても元気な子が多かったので、楽しかったですね。食育の授業も今回から内容を一新しましたし、いろんな面でアップデートされてよかったと思います。食育の授業はゲームっぽいつくりになったので、みんなも楽しめたんじゃないでしょうか。

ハードルについては、今回は普通にハードルの指導をするのがいいかなと思いました。だんだんハードルの高さを高くしていくパターンや、普通に跳んでから3歩で跳ぶ、2歩で跳ぶなど距離を変えていくパターンなどいろいろありますが、今日は身体能力が高い子が多かったのでハードルを高くしても物足りないだろうと思い、距離を短くして跳ぶ練習を盛り込みました。なかにはハードルをよけてしまう子もいましたが、全体的に素直な子が多くて、指導した通りにチャレンジしてくれて、すごくうまくなった子もいましたね。

夢の発表ではブッとんだものが多かったですね(笑)。発表しなかった子の中にもすごく面白い夢を書いていた人がたくさんいましたので、話していて楽しかったです。今回は夢シートも改良して、とにかく夢のストーリーを考えることだけに集中してみましたが、つまずいている子も中にはいたので、何歳で何をするというようにシートに年代の枠を作ったほうがいいのかもしれないなとは思います。そのあたりは僕のファシリテーションの部分で調整しながら、いろいろ試してみたいですね。