葉の鞘(さや)をはずして穂の生長を追ってみました。
左、3月7日、真ん中は3月28日、右、4月4日。
1ヵ月足らずのうちに、約1mmの穂が10mmの大きさになりました。
『ムギの一生』より
3月に入り暖かくなると、茎の中の幼穂(ようすい)は生長して、
やがて実となる“小穂(しょうすい)”ができてきます。
1つの穂に20前後の小穂をつけます。
麦踏みをした小麦の草姿(そうし)は分けつが進んで生長してきました。
3月中旬になると、草のような姿の小麦は茎が立ってきます。
暖かくなると、雑草が増えてきます。雑草は小麦の生育の妨げになります。
こまめに根こそぎ取り除きましょう。
あおあおとした茎葉が広がる4月になると、虫などいろいろな動物がやってきます。
代表的な虫がアブラムシ。小麦の害虫です。これはアブラムシの被害にあった小麦です。
テントウムシはアブラムシを食べてくれる小麦にとっては益虫です。
そして、テントウムシなどの虫を待ち伏せているのがアマガエル。
さらにアマガエルを狙っているのがヘビや鳥。
この小さな畑という世界でも食物連鎖が起きているのです。
小穂ができた穂は、春の到来とともに茎の中で生長して、葉鞘(ようしょう)から顔を出します。
出穂です。関東では、4月中~下旬です。
穂が出て4~5日たつと花がさきます。開花です。
小麦の花は、穂のほぼ中央部から上と下にさいていきます。
朝から夕方まで次々とさいていきます。
小麦の花はふつうの花のような花びらやがくはなく、花の中におしべとめしべがあり自家受粉を
行います。他の多くの植物のように虫や風が花粉を運んだりする必要がないのです。
花が開くと自家受粉が行われ、それが済むと閉じてしまいます。
和光中学校の生徒たちは小麦の生育にあわせて
見たこと、感じたことを観察記録に残しています。
これは畑の小麦の草丈をみんなで測定しているところです。
受粉が終わると小麦の実が育ち始めます。2週間ほどたつとミルク状のでんぷんがたまっています。
この時期の小花(種子になる前)を割ってなめてみるとほんのりとした甘さが伝わります。
収穫まであと1ヵ月あまりです。
収穫が近づくと、すずめなどの鳥たちも小麦の種子がいかに美味しいかを知っていて、
ミルク状の実を食べに来ます。花がさいたら穂の上に網をかぶせて鳥から守りましょう。
防鳥ネットはホームセンターで購入できます。
収穫は、開花してから45日前後の時期になります。
入梅の時期を迎える頃になるので、その前に収穫できるようにしましょう。
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